寄付月間公式認定企画「あなたが選ぶ大学ファンドレイジングニュース」を発表!
応募いただいた皆さん、ありがとうございました!順不同にてご紹介します。
「新型コロナワクチン・治療薬開発寄付口座」を三井住友信託銀行が開設
【内容】
三井住友信託銀行は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン・治療薬の開発を行っている大学等への支援を目的として、「新型コロナワクチン・治療薬開発寄付口座」を開設(5月21日〜8月31日まで。現在は受付終了)。また口座開設に際し、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン・治療薬の開発や既存薬の転用等の対策に取組んでいる12大学へ、一大学につき1,000万円を寄付した。
【推薦理由】
大学と金融機関が連携することで、従来のステークホルダー以外の方々にアプローチでき、寄付者の裾野が広がった。参加した大学は12大学。合計2億6千万円のご寄付が集まった。
【URL】
https://www.mitsuipr.com/news/2020/0528-3/
早大・学生支援の寄付で「早稲田の底力」 1.4万人超から5億円、先輩から後輩へ
【内容】
早稲田大学は、新型コロナウイルス感染症拡大により経済的に困窮している学生支援のために4月24日から寄付を呼びかけ、8月4日に5億円に達したと発表した。
寄付の多くは卒業生によるもの。幅広い世代からの寄付が集まり、また海外の卒業生からの支援もあり、合計1.4万人以上から寄付があった。今回の学生支援寄付は3カ月強で5億円に到達し、かつてないスピードで寄付が集まった。
【推薦理由】
4月末の大学の支援策発表以来、良いな、とウォッチしていて、「1週間で1億円、1カ月で2億円、6月12日には3億円に到達」との推移に注目していたので。
【URL】
東洋大学困窮学生向け「Hands to Hands支援」
【内容】
東洋大学ボランティア支援室が、10月から食品を集め学生に配り、手から手に温もりを渡す活動を開始した。教職員、卒業生、保護者、大学生協などから食品が寄贈され、学生へ配られた。
【推薦理由】
東洋大学は他校同様いち早くコロナ募金を開始し実績を上げているが、ボランティア支援室が困窮学生向けの食糧支援で大きな実績を上げた。特にボランティア支援室が卒業生組織である「一般社団法人東洋大学校友会」を動かし、会員向けのメールマガジンで3回にわたって呼びかけをしたところ、多数の卒業生が呼応し初期目標である200名への食糧支援を早々に達成。第二弾も実施する状態。
特に卒業生祖組織がブログ形式で卒業生に発信するメルマガの効果は大きく、迅速かつ効果的な成果を挙げたことに着目したい。
①https://www.alumni-toyo.jp/news/news002/ ②https://www.alumni-toyo.jp/news/news003/ ③https://www.alumni-toyo.jp/news/news004/
【URL】
https://www.toyo.ac.jp/social-partnership/csc/volunteer/foodbank/
コロナで困窮学生にコメ配布 島根大教職員が寄付
【内容】
島根大学では西崎緑教授と事務職員ら計4人の呼びかけにより、4月27日に学内の一斉メールで食料の寄付を募集。教職員をはじめ、実家が米農家を営む学生など100人以上から600キロ以上の米が集まった。5月1日午後1時から配布を始めると、多くの学生が受け取りに来てわずか30分で配布終了。
この食料品配布について地元の新聞でも大きく記事が掲載され、第2弾では、新聞記事を読んだ地元の人や地元企業・団体からの多くの食料品が集まった。
【推薦理由】
地方大学における、温かい、大規模かつスピーディなお米の寄付が素晴らしい。
【URL】
国立大学の7割が新型コロナウイルス感染症に関する募金を実施
【内容】
大学チャプターは、コロナ禍にある現状を受け、「高等教育機関(大学)における新型コロナウイルス感染症に関する寄付募集の状況」を調査。その結果、全体の 18 %の大学で、コロナ禍を要因とする募金活動を行っていることが分かった。大学種別では、国立が70%と圧倒的に多く、次いで公立が15%、私立は11 %。寄付金の使途は、困窮する現役学生への経済的支援が主流で、大学病院への医療支援や研究への支援を呼びかけるものもあった。
【推薦理由】
大学チャプターによる調査を初めて実施、日本ファンドレイジング協会からプレスリリースした。またファンドレイジングジャーナルとFacebook Liveの多チャネルにて解説した。「本学でも他大学を参考に寄付金募集を始めました!」という声が寄せられた。
【URL】
立命館SDGs推進本部teamRIMIXが第11回日本ファンドレイジング大賞「新型コロナウィルス支援大賞特別賞」を受賞
【内容】
立命館SDGs推進本部team RIMIXが立命館学園の学生・児童・生徒が集うプラットフォームとして、オンラインコミュニティ「Beyond COVID-19」(ビヨンド・コロナ)を立ち上げた。学生らが立ち上げる社会課題を解決するプログラムを支援するために始めたクラウドファンディング「学生の挑戦がコロナ後の世界を切り拓く|立命館 Beyond COVID-19」が評価され、「日本ファンドレイジング大賞」新型コロナウィルス支援大賞 特別賞を受賞した。
【推薦理由】
日本ファンドレイジング大賞で大学関係機関として初の受賞のため。
大学はコロナ禍で学生への生活・勉学のための緊急支援が主流のなか、立命館では「コロナ禍の今だからこそ何かしたい」という学生らの挑戦を後押しする取り組みにいち早く着手した。
【URL】
東京大学が国内初の大学債で200億円を調達
【内容】
東京大学は10月16日、第1回国立大学法人東京大学債券(愛称:東京大学FSI債)をソーシャルボンドとして発行した。発行額は200億円、年限は40年。国立大学の大学債はこれまで、直接的な収入が見込まれる事業にしか発行できなかったが、6月に発行要件が緩和された。調達した資金は、同大が持つ社会変革を駆動する力を高める「東京大学FSI(Future Society Initiative:未来社会協創)事業」に充当される。
【推薦理由】
ソーシャルボンドおよび大学債の発行は国立大学法人では初めてで、今後、他の国立大学が資金調達手段の一つとして追随すると思われるため。東京大学への寄付への好影響も期待できる。
【URL】
https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/about/public-info/for_investors.html
ファーストリテイリングの柳井正氏が個人として京都大学に100億円寄付を発表
【内容】
株式会社ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長柳井正氏は6月24日、個人として京都大学に100億円を寄付すると発表した。ノーベル賞受賞者である本庶佑特別教授と山中伸弥教授の研究に、それぞれ10年にわたり5億円ずつ、合計50億円ずつを寄付する。
【推薦理由】
著名人による高額寄付はその金額が話題となるだけでなく、寄付先の社会課題を知ってもらう良い機会になる。今回の柳井氏の寄付により、国立大学の運営交付金減少や、大学の研究資金調達をめぐる厳しい現状について記事として取り上げられた。
【URL】
政府、10兆円規模の「大学支援のファンド」創設へ
【内容】
来年度、大学の研究や若手の育成を支援する最大10兆円規模のファンド(基金)を創設し研究力の強化を図る方針を政府が決めた。将来的に年数千億円の運用益を目指し、研究費や若手の待遇改善に充てる。
【推薦理由】
安宅和人氏が今年2月に発売された著書『シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成』で述べられていた10兆円規模の大学ファンドが、日本版の官学ファンドとして動き出した。その体制面も徐々に見えてきたが、日本の学術界を支えるファンドに今後育つかどうか、注目である。
【URL】
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO66231290T11C20A1MM8000?unlock=1
https://www.mext.go.jp/content/20201214-mxt_kaikesou01-100014477-000_2-1.pdf
大学チャプター運営メンバー3人が認定ファンドレイザー試験に合格
【内容】
日本ファンドレイジング協会が認定しているファンドレイザー資格は、准認定と認定の2種類。2月1日、大学チャプター運営メンバーからは3人の認定ファンドレイザーが誕生した。
【推薦理由】
大学チャプターでは有資格者増に向けて啓発を進めているなか、上位資格である認定ファンドレイザーの保有者が合計5人になった。
【URL】
使わない呑み代は全部寄付した!
【理由】
今年に入って呑み会はほぼ皆無。浮いた呑み代を気分に応じて寄付していたら、先月のクレジットカードの支払いは新聞代と携帯料金以外は全て寄付だった!お店の人には申し訳ないが、大学やNPOへの貢献は大きかった一年だった。
総評
2020年が始まったばかりの頃を思い返すと、まさかこんな1年になるとは全く想像もつきませんでしたね。新型コロナウイルス感染症は世界を変えて、大学にとっても記憶に残る1年だったのではないでしょうか。皆さんが選んだ大学ファンドレイジングニュースから、いくつか感じたことをまとめてみました。
(1)新型コロナウイルス感染症研究や学生支援のためのファンドレイジングが活発に!
新型コロナウイルス感染症の影響が広がるなか、多くの大学が寄付募集を活発に展開しました。社会全体の寄付への関心が高まりをみせ、特別定額給付金(一人10万円)も後押しとなり、大学へも多くの寄付が集まりました。
大学はこれまで、周年事業や未来への投資への理解を求めながら長期的な計画でファンドレイジングに取り組むことが多かったと思いますが、今年は新型コロナウイルス感染症をきっかけに、これまでにないスピード感で緊急かつ短期的なアプローチの取り組みをする大学が多く見られました。民間企業や地域が大学のために自発的に支援を開始し、共感の輪が広がっていく事例もありました。
(2)「寄付先としての大学」の認知度アップ
一般の方には「大学って寄付集めているんですか?!」という認識がまだありますが、今年は有名人や個人から大学への巨額な寄付の事例も多く見られました。「大学へ寄付する」という行為が大きくニュースになることで、災害などの緊急事態への寄付だけでなく、教育・研究など「未来への投資」としての寄付も選択肢にあることを、多くの方にもっと知られるチャンスとなりました。
さらに各大学が描くビジョンや研究等の取り組みを、分かりやすく広く社会に情報発信しお礼や報告を重ねることで、「大学は信頼できる寄付先である」ことがより定着していくのではないでしょうか。
(3)新たな外部資金調達
東京大学の大学債発行や10兆円大学ファンド構想など、大学の資金調達に新たなチャンネルが組み立てられています。日本の大学の寄付獲得や基金運用の規模は、米国の大学に比べると1~2桁以上の差があります。
世界の中での日本の教育・研究のレベルや地位向上を支えていくためにも、ダイナミックな動きには注目ですね。
大学ファンドレイジングという切り口だけでも印象的なトピックがいくつもあった2020年でした。来年はどんな年になるでしょうか?今後も大学ファンドレイジングに注目していきましょう。